労働と報酬 タコ師匠のバイク史:その10

真っ暗な倉庫の中で一晩過ごすと反省してるやろうと倉庫の扉を開く爺さん、何処にも孫の姿はありません。

鍵をかけ、窓すらない倉庫から脱出するのは不可能なのです。。

普通の子供なら。

kodomo

そう、タコは倉庫の電気用の鉄パイプを掴んで、屋根裏まで登り、馬小屋のバイクの場所まで来て、中から鍵を開けて出たのでした。

少し寒く暗がりの中に太郎號を見つけ、デカイ太郎號のお腹に挟まり寝たのです。

太郎は僕を慰めるように、びちゃびちゃの大きな舌で顔をネブリます

こそばいなと思いつつ、いつの間にか寝ていました。

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『このガキ、犬と寝とる。起きろ!!』

『??』

爺さんにアイアンクローされ目覚めた僕は、井戸に連れて行かれ氷水のような水で顔を洗われました。

そう、爺さんのブロックのような硬い手で。

『お前、これから太郎の散歩行け。あと今日は学校行かんでええから。』

別に不登校でもなく幼稚園が嫌いでもなく、学校に行かんでもええと言われても嬉しくも何ともないのです。

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言われるがままに太郎の背中にまたがり、鎖を外しました。後ろからモンキーで爺さんが着いてきています。

近くにある親戚の家の井戸から水を貰い太郎に飲ませて鶏肉屋さんで鶏の肝と皮等を貰います。

当時の鶏肉は皮や肝はゴミ扱い。

犬のえさとして毎朝二キロ貰うのが日課です。

散歩を終えて家で太郎をおりに入れ、鎖をつなぐとモンキーに乗った爺さんが帰って来ます。

よそ行きの服を着て、靴下を履いて靴を履くように(タコは常に裸足にゲタかセッタでした)命じられ、着替えたのでした。

国鉄(現在のJR)に乗ります。

ディーゼル機関車が客車を牽引するスタイルの列車は満員で、背広を着たオッサンのポマードの臭いでモヤモヤしていました。

スキンヘッドの爺さんと丸坊主の僕はたちまちポマードの臭いに酔い、乗り換えのターミナル駅で朝ごはんをぶちまけたのです。

【画像は自粛・・】

靴は堅苦しいし、背広のオッサンは臭いし、列車は変な揺れかたするし。

何でこんな乗り物に乗るのか意味不明です。バイクに乗れば速いし、冬は車に乗ればヒーターついてるし。

フラフラになりながら目的の駅について今度は満員のバスです。

絵本で見た事はありましたが、乗るのは初めてです。

僕は小学1年生よりデカイですが、幼稚園児なのでバス賃も電車賃もいりません。

徒歩15分ぐらいで立派な会社に到着したのです。

『よう来てくれたな!迎え出すのに歩いて来たんかいな?』あの社長です。

『おはようございます!いつもお世話になってます!今日はよろしくお願いします!』

柔道場でのしつけで挨拶だけは一丁前。

ちょっと仕事手伝うだけと連れて来られた会社。

栄養ドリンクを作る所に連れて行かれ、原料を釜の中に入れる。

これが僕に与えられた仕事でした。

黄色い袋を3本入れたら青い袋と茶色い袋を1本ずつ入れてね。

優しい口調の知らんオッサンが説明してくれます。

黄色い袋積まれてる所から台車で釜まで運びます。

1本25㎏。

幼稚園児の僕には重た過ぎる袋ですが、意地で台車に乗せました。次は釜の横に袋を立てて並べます。

そのすぐ後に青いのと茶色いのを台車に乗せます。

これは10㎏。僕でも持ち上げられますが、すでに汗だく。

上を脱いでランニングシャツ一枚になり、どんどん台車に袋を乗せます。

10時半の休憩時間に栄養ドリンクを貰い一気飲み。

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旨い!

昼休み迄はフラフラになりながらも、何とか袋を運び続けてましたが腕や肩が痛く、お腹は減るわ、喉は渇くわ。

柔の稽古のほうがなんぼかマシで楽に感じました。

昼休みは社員食堂にて2回おかわりをし、いつもは食べない焼き魚やほうれん草のお浸しまで平らげました。

昼食後に別の場所で仕事だと連れて行かれたのど飴の所。

風邪が流行る季節品で、生産が間に合わない状況になるらしい。

漢方薬の臭い匂いが漂う所で砂糖を炊いて飴にするので甘い匂い。

喉に良いらしい変なミカンみたいなのを炊いた奴から汁を絞り出して混ぜる。

さっきまで使ってた茶色い袋をどんどん開けて釜に入れていきますと、ベッコウ色がだんだん焦げ茶色に変わります。

結局夕方までお手伝いをして従業員の皆さんに挨拶をし、社長室で社長に挨拶をしていたら爺さんが戻って来てました。。

『今日お前がお手伝いしたお金はだいたいやけど500円や。グローブは5000円、バット5000円ぐらい。何回働いたら買えるんかわかるか?』

onijiji

『知らん』

kodomo

『20回や。学校行く変わりにここ毎日来るか?』

onijiji

『もういらん』

kodomo

『おっちゃんがくれたグローブとバットどないすんねん?』

onijiji

『ほんまにイラン、、、けど、ありがとう言うてもろとこか。』

kodomo

何となくですが、大変な思いで仕事して苦労して得たお金をお前に使ってくれたのに、こんなんイランとか言うなやアホ‼

と爺さんが言いたいんやなと理解しました。

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