➖豚ゴリラ合コンに行く➖
つばさ:『まず髭剃ろうっか?髪の毛も短めにな。』
植田:『眉毛も剃ってな。』
豚ゴリラ:『眉毛は残してくれよ。』
つばさ:『痩せたりでけへんかな?』
豚ゴリラ:『産まれてから痩せた事ないねんで。』
植田:『うん、こいつのあばら骨は見たことないな。』
つばさ:『世の中がデブ専しかおらん国とかやったら、モテるし結婚も出来るで。 けど、ここ日本やし。 一緒に行くの、ジミーと山中にしとかな女の子と話す事すらなくなるで。』
豚ゴリラ:『チンチクリン、ジミーと同レベルなんか』
植田:『否、お前は手に職がある。 結婚してもバイトしてるチンチクリンや首切りされたジミーとか違うで。 一応、大手傘下のエンジニアやがな。 でもな、人は第一印象が大事なんや。 それは俺も痛いほど感じた。』
豚ゴリラ:『兄ちゃんの第一印象はほんまアカンもんな! 絶対人何人か殺してる目付きやからな』
つばさ:『うん、たぶんだいぶ殺してる!』
豚ゴリラ:『子供の時に長い坂をモンキーの前に載せられて、ノーブレーキで降りられた事あるわ。』
つばさ:『笑いながらやりよるやろ?』
豚ゴリラ:『おう! 恐怖で泣いてる俺の背後で悪魔が高笑いしとったわ。』
植田:『あと服をコーナンで揃えるの辞めろ。 今時は背が2メートルの人や、150㎏ある人の服を売ってる店もあるんや。 作業服の3L着てるよりマシやぞ。』
つばさ:『ひろちゃんのゴツい時の服をあげたらどうなん?』
豚ゴリラ:『オバチャンからTシャツとかシャツ貰った事あるわ。 Tシャツは着れたで。 ボタンのシャツは腹が止まらんかったんや。 ジーパンは同じく腹が止まらんかったんや。』
つばさ:『ジーパンなぁ、チノパンぐらいにして落ち着いた大人の男をアピールしてみたら?』
植田:『よっしゃ、ニチイ行ったら知り合いおるからそこで揃えたろ。』
つばさ:『わたしは合コンしてくれる相手を探すわ』
➖ニチイ(サティ)➖
植田:『毎度!』
担当:『あ、植田さんのお兄さん。 今日は?』
(植田の妹がサティのテナントの中で働いてる)
植田:『この豚のズボンを2~3本見たって下さい。』
担当:『ウエストが…110㎝。 明るめの色でよろしいですか?』
豚ゴリラ:『ラッパーみたいなんないんかな?』
植田:『あったかて、デブ専の店はちょっとオッサン向けやからな! 普通のはわれが痩せな入らんがな』
担当:『妹さんとこに、FILA とか他のラッパーみたいなん残ってたような気がするんですけどね。』
植田:『ほんま?あれ俺が仕入れた売れ筋やのに…』
豚ゴリラ:『あ、あった! 40インチとか? デカイな』
植田:『2割にしといたるから買えや。』
豚ゴリラ:『売れ残りやろ? 2割引き高いわな。』
植田:『2割や。 8割引きや』
豚ゴリラ:『勝手に値段変えたら犯罪やぞ。』
植田:『40インチなんか普通の人間が買わへん。 俺が店長に言うたるから』
店長:『あ、お兄さん! こんにちはー。』
植田:『店長、このFILA 負けたってや』
店長:『一番デカイサイズの奴ね。 売れ残りなんで525円でいいですよ。 もう1本、カーキブラウンで同じサイズのあります。』
豚ゴリラ:『2割どころやあらへん! 二本買います! 裾あげしてもらっていいですか?』
植田:『♪おー前ーはーあーほーかー。 誰がこんなもんベルトしてきっちり履くねん? パンツ見せて引きずるねん!』
豚ゴリラ:『そんなだらしない』
植田:『なんやったらノーパンではきこなせ。チンコ見せてたら色んな意味でキャーキャー言われるぞ』
豚ゴリラ:『またふざけてるやろ?』
店長:『チンコはダメですけど、パンツ見せて引きずるのは正しいんですよ。若い子はカルバン・クラインのパンツ見せてやってるから。』
植田:『見せるパンツあらへんけどな! フンドシで行け!』
豚ゴリラ:『フンドシなんか持ってへんわ! とにかくこのジーパン二本買います。』
店長:『植田さん、ちょっとミシンのギア見てもらえますか? 調子悪くて。』
植田:『ええよ、埃が詰まってるだけやろな? ほら、オイル刺しすぎ。 薄くオイルまんべんなく塗ったらはい、終わり。』
店長:『いつもありがとうございます! あ、植田さんお兄さん来てるよ。』
妹:『平日の昼間からオッサン二人何してはるん?』
豚ゴリラ:『おう! 合コン行く服を兄ちゃんに選んでもろたんや』
妹:『(爆笑しながら)豚ゴリラが合コン行くんか?』
豚ゴリラ:『おう! アカンのか?』
妹:『バイトの子で良かったら彼氏おらんのおるで。』
豚ゴリラ:『紹介してや』
妹:『その子、可愛いから豚ゴリラには会わへんと思うわ。』
豚ゴリラ:『おう! どういう意味や! 兄弟揃っておちょくりやがって!』
妹:『豚の癖に高望みすんな! 分相応の相手見つけろって意味や。』
豚ゴリラ:『……豚の癖にって』
店長:『ケンカせんとってください。』
植田:『お互い謝れ。』
妹:『言い過ぎた。 ゴメン豚ゴリラ』
豚ゴリラ:『いいよ』
店長:『ありがとうございました!』
植田:『店長、ありがとうな!』
豚ゴリラ:『ありがとうございました!』
植田:『ほんまうちの妹は口悪いな』
豚ゴリラ:『ほんま女子プロレスラーみたいな奴に言われたないわ』
植田:『せやけどジーパン二本で千円はあいつが店におるからやで。』
つばさ:『おかえりなさい。 ええのあった!?』
植田:『かた落ちのFILA 二本で千円。 普通のチノパン1本五千円。』
つばさ:『ジーパンでラッパー気取る?』
植田:『前足に入るシルバーとかないから無理やろ?』
豚ゴリラ:『帽子とネックレスでええよ』
植田:『あと、西武警察の渡哲也みたいなサングラスな』
つばさ:『お爺さんの部屋にあった奴?』
植田:『あれレイバンやで。 上等な奴やから潰すなよ。』
豚ゴリラ:『おう!』
つばさ:『合コン相手、ここに電話とメール書いてるから連絡取り合って。』
➖にわかラッパー豚ゴリラ、既婚者単車男、無職ジミーが待ち合わせした居酒屋。 合コン相手方がドン引きして無言のまんま時だけが過ぎましたそうです➖