高校生活とRGΓ400とRGΓ500 タコ師匠のバイク史:その34

プロレスラーの強さを嫌と言うほど思い知らされた僕は、自分のトータルでの力のなさ、骨格の小ささ、中1から身長が止まってる事、最近は膝が真っ直ぐ伸びない事、コネで市役所に就職しても15年ぐらい経たないとベンツどころかクラウンすら危うい事等色々考えての決断でした。

早々に進路が決まった僕は、アルバイトをしながら高校卒業して挑む予定のアメリカ、ラスベガスのリングに立つ為の資金を貯めました。

簡単なアルバイトです。

飼い犬のロードウォリアーズを連れて、不動産屋である注文主の指定する家の周りを集中的に1時間散歩。

それだけで中学生が1時間に5000円貰えるのですから割の良いバイトです。

散歩の後は必ずアニマル・ホークに500円ぐらいの骨の形のオヤツを買ってあげたら喜んで散歩に出てくれます。

それだけではなく、その場所の仕事が終わると3万~10万円位のボーナスが貰えたのです。

高校2年ぐらいまでこの美味しいバイトは続きました。

高校生になる前に中央市場で短期バイトもやりました。

朝3時から昼の12時まで青果物の荷降ろしと、1斗缶に入ったメンマや水煮タケノコの蓋をキックで開けるだけ。

もちろんキックには自信ありますから、他の人よりも倍以上の早さで開けていきます。

夏休みや冬休みには常にお世話になったこの青果店は、後にプロ転向した時に多額のスポンサー協賛をして戴きました。

高校生になってやっと免許が取れる歳になりますが僕は2月産まれ

勉強も自己流で試験を受けに行き、5回目でやっと合格した時には2年生になっていました。

運動会で高校1年の時に手に入れたRGΓ400のウォルターウルフカラーに合わせて、Hi Rのウォルターウルフカラーのスクーターも買いました。

どうせ車検が必要な400㏄なら、500㏄にしたほうが速いし逆輸入車もあるからとΓの400㏄を道場の前に並べ、定価から10万円引き下げて売ります。

新車なのでほぼ1年近く車検が残っていてお得なのです。

このΓは体育教師がボーナスで買ってくれました。

Γ500は軽量の為、マッハ3よりも加速が良く、コーナリングもアクセルを開けなければバンクさせやすいので気に入ってましたが、僕の行動範囲は所詮、隣街程度。

コンビニに行くのにΓで行くと、買い物した物を乗せる場所に困り、使い良いスクーターばかり乗るようになります。

半年に1度位のペースで鈴鹿サーキット走ったり、伊勢攻めたり、和歌山の山中を攻めたり、それなりに楽しみました。

それでも車検通したり保険払ったりもったいないなと思いませんでした。

あまり乗っていない500Γを狙う悪魔が身近にいたのです。

それは叔父さん。

叔父さん「ヒロ、お前500Γ乗ってへんやん。もう単車卒業か?」

僕「遠いとこ行くのはええねんけど近場はな、ちょっとだけめんどくさいな。」

叔父さん「ほな俺乗るわ。お前もうちょいで車の免許取るやろ?俺の車と交換したるで。」

僕「車?」

18年前の煙草の臭いが染み付いた現在のカローラより小さなスカイラインと、最新のΓを交換ですか?

僕「スカイラインに今あるカブ、NSR 80つけてくれたらかまへんよ。」

叔父さん「よっしゃ、商談成立!」

翌日有給を取って陸運局に走る叔父さん。

そして僕は高校2年生にして伝説に近かった、20万㎞以上走ったハコスカGT- Rのオーナーになりました。

青果市場から帰り道でジムニーに当てられ、ハイのフレームが歪み、廃車扱いに。

当時の彼女の弟が欲しいと言うので、ハイはマフラー等もまとめてあげました。

彼女の家はレスリング道場の近くです。

馬場君を連れて家からスーパーマーケットの荷降ろしに使うカゴ台車に乗せて、ハイを押して行きました。

途中で台車の車輪が折れ、馬場君と交替で担いで持って行きました。

彼女の家の裏庭に逆さまに持ったハイはごみのような姿に。

加害者からはハイの新車の料金+ウォルターウルフカラーがもう買えない料金+ウォルターウルフカラーのアライのメットが55000円もしたんやけどこれいつ被るの?料金等、たんまり貰っていたので修理のパーツも買ってあげました。

残ったNSR とカブに乗るのにスズキカラーのウォルターウルフメットではさすがに恥ずかしく、アライのラパイドの黒とショウエイのアゴが開くフルフェイスのガンメタのメットを買い、それぞれのバイクに合わせて被ります。

そして高3。

楽しかった男子校生活にピリオドが訪れます。

付属大学に進学する人、他の大学を受ける人、専門学校に行く人、稼業を継ぐ人。

付属大学には停学経験のないもの、事件性のある事を起こしてないものとあります。

僕は動物園の猿山のオリの中に入って、動体視力の特訓をして警察に捕まったのが1度、

決してイジメではない訳のわからんドライブって遊びで1度、

遅刻しそうになって学校までΓで行ッたの見つかったのが1度

これで付属大学には進学出来ません。

他の大学入学までの2ヶ月でムエタイのテクニックを身に付ける為、タイに旅立ちです。