ニューカマー馬場君と賞品 タコ師匠のバイク史:その23

小5になった京やんが、まだ喜んでジャングラーをウチの敷地内で乗り回しています。

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やっぱりこの人、変です。

ポケバイなんかもう小さくて乗りにくいだけの乗り物で、警察や家族もうるさくて公道では乗り回せません。

小3の僕にもポケバイは小さくて乗りにくいのに、この小5は幼稚なデザインのジャングラーを乗り回しているのです

僕はすでにモンキーに乗ってもいい身長になり、堂々と乗り回していました。(足が届いただけで無免許です)

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私学の中学を目指す京やんは勉強に忙しくなり、唯一無二の息抜きがジャングラー。

本当に楽しそうに乗っています。

彼は柔の才能は恐らくゼロですが、将来我慢強い子になるようにと、社長の息子さんの希望で道場には通って来てました。

まだ僕より身長が低く、体重も軽い彼は道場で一番小さく、一番弱い人です。

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一番年下の僕と新人の彼が道場の掃除や飯の用意、片付けをするのが決まりです。

近所にも男の子はたくさんいましたが、あそこの道場に行く人は、変わってるだの、闇の軍人養成所だの影口を叩かれ僕より年下が入門して来ませんでした。

正確には来ても一日で辞めていくのでした。

営利目的ではない道場は本当に稽古が厳しくて有名でした。

名門の高校、大学に柔道で新学した近所の兄ちゃんは中学で柔道部に入り、こんなぬるま湯の練習ではイカン!と不安になり、爺さんにお願いして部活後でも稽古に来てたぐらいです。

よく大阪にでた時に見かけた

『兄ちゃん、ええ身体してんな!自衛隊入らへんか?』

のオッサンを見ていて僕はヒラメキました。

◼これや!◼

いつまでも道場の掃除や飯片付けとかやってられへんな。

僕は猪木倒さなあかんし、京やんは一生懸命勉強してアマゾンライダーに自分を改造出来る博士にならなアカン。

そして僕たちは一緒に行動に移したのです。

近所の公園では爺さんに見つかります。

僕たちはすこしだけ離れた新興住宅内の大きな公園でビラを配りました。

ごはんはタダだよ!
げっしゃもタダだよ!
君もいっしょに地球の平和をまもろう!

京やんが会社にある印刷する機械を使って、作ってくれたビラを男の子に配り『兄ちゃんええ身体してんな!いっしょに地球の平和守ろうや!』

戦後から約30年、ごはんはタダの理由で入門してくれる男の子はなかなかいませんでした。

地球の平和守ろうもイマイチようわかりません。

一人を除いて。

その男の子は僕と同い年の小3。

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背は高めですが、ガリガリのジャイアント馬場みたいな顔だちです。

家が貧しくて満足に飯を食えない。

ほんまにご飯タダなん?と何度も聞いてきました。

聞けばお父さんが早くに亡くなっていてお母さんのパート収入で暮らしており、腹いっばい食べた記憶がないのだと言う。

うちは兼業米農家。

僕は米嫌いだが、米は犬や鳥や牛にすら食わせるぐらいあるはず。

とりあえず今からおいでよ。

とこのガリガリくんを家に連れて帰り、練習前の時間にオカンにラーメン丼に満タンのごはんとカレーを貰い食べて貰った。

『なかなかマズイ…』と半分泣きながらカレーを完食したこの男の子、爺さんに挨拶をしに行く。

『今日からお世話になります!よろしくお願いします!』

久しぶりのヤル気ありそうな少年が来て喜ぶかと思いきや、爺さんが質問攻めにする。

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『どこに住んでいる?』

『家族は?』

『何の仕事してはるの?』

いつも爺さんは門下生だけでなく、家族も気にして気配りをする。

飯食わせて道着まで買い与え、無料で教えているのに更に中元や歳暮を贈り、苦労して作った野菜や米もお裾分けしている。

家族の理解がなければ、門下生は来ないし、強くならないし、我慢も出来ないかららしい。

骨川筋衛門

ガリガリくんがじいさんにつけられたアダ名。

ほんまに痩せてて骨と皮、筋だらけだ。

でも僕らは長くて呼びにくいから『馬場』と呼んだ。

そして待ちに待った運動会。

そう、毎年新しい乗り物を提供してくれるあの運動会だ。

京やんが気を効かせて馬場くんも運動会に招待してくれた。

京やんは小5なので年少の相撲や徒競走にはいない。

去年から年長の部に出て1位になってる。

いじめられていた頃から道場に来てよく頑張っていると思う。

2つ歳上だが、このガタイの小さな変わり者の幼稚なガリ勉くんは、自分がスカウトした馬場くんを可愛がり、また馬場くんも京やんを慕っているようだ。

幼少の部徒競走
賞品 松阪牛

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米1年分

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年々参加する子供が減り、去年から京やんがいない幼少徒競走、ずっと僕の独り勝ちが続いてる。

裸足の僕は楽勝気分でスタートラインに立った。

よーい、どん!

順調な出、ここからいつもブッチギル。

!?

馬場が猛追、僕はゴール前で少しだけ力を抜いた。

1位、馬場くん。2位は僕。

馬場くんは米1年分と肉を獲得してはしゃいでる。

その後すぐに僕は爺さんに呼び出された。

爺さん『なんでわざと負けたんや?』

僕◼……◼

爺さん『骨川筋衛門は確かに貧乏かも知れん!けど、わざと負けてもらって喜ぶ奴か?』

毎年 肉、米貰ってるから今年はバイクや家電、車だけ貰って、食料は全部馬場にあげよう。

優しさのつもりが、勝負師として大切な事を見失いかけていた僕を、爺さんがちゃんと監視していた訳です。

幼少相撲は僕が本気の

◼頭パンチ◼

で馬場くんのみぞおちに一撃を食らわせ、順当に優勝!

年末に届く猪肉一頭分を手に入れた。

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これは今日トラックに積まんでええから楽だ。

一昨年のウェイトリフティングは不評過ぎて、出番がないオカン弟。

2位の選手には何の景品もないので、親父や爺さんが出てる限り、勝ち目はない。

家族対抗戦のリレーと綱引きだけの為に参加してくれている。

綱引きには新型洗濯機、シルバーフォックスの毛皮や真珠のネックレスがかかり、参加するチームが年々増えているようだ。

馬場くんも社長の息子さんの家族のチームで参加している。

しかし、ブロックみたいな手でどつかれるのは避けたいから、わざと負けてやるわけにはいかない。

社長がマイクで宣言する。

『勝ったチームの社員は一段階昇進させます!』

叔父さんは係長になったばかり。

でも決勝戦の相手は社長の息子、専務らしい。

会場内がどよめく。

専務から昇進となると、副社長?社長?

叔父さんが若くして課長?

爺さんも親父も勤め人ではないので、社長が偉いぐらいしか知識がなかった僕は、叔父さんが綱引きで勝ったら社長になると勘違いしていました。

叔父さんが社長になったら、Z を全部の競技の景品にしてもらおう。

一つの競技は体重計に乗って、一番重たい人がZもらえる。

オカンに出てもらったら絶対にZがもらえるな!といらん想像をしてニヤニヤしていたら勝負は終わってました。

ウチの家族の勝ちです!

社長『おめでとう!今日から課長!給料10000円昇給! 残業代なし!』

実質、手取りは変わらず出世して笑ってる叔父さんを見ながら、オカンがぶっとい首に真珠のネックレスをはめている

◼豚に真珠◼

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