年間で会社に約2億の利益を貢献していたタコですが、いかんせんチェーン店展開してきた大型ショッピング施設の哀しさ。
他店舗の経営赤字がかなり深刻です。
32歳にして早期退職に応募し、倍額の退職金をもらいます。
京やんに連絡してみると…製薬会社の系列会社がすべて売却済です。
負債が40億円以上あり、資産売却しても半額も返せないようです。
経営者すべて退陣し、次の社長であるはずの京やんも退陣するしかないと。
じいさんに報告すると、亡き先代から預り金としてまとまった金額を寄付して貰ってたのと、今まで景品として頂いてた車やバイクの金額をまとめて現社長に渡して来い!と男前な言葉。
半年前にうちのばあちゃんが亡くなった時には、苦しい台所事情であろうなかから、三百万円もの御香典を包んで下さってた現社長。
部長である叔父さんに恥をかかせまいと言う思いと、じいさんに対する恩義がひしひしと感じられました。
退陣するであろう京やんの家族へ、普通に他の仕事していけば、充分やり直しの利く金額を僕のZEROハリバートンのアタッシュケースに詰め込み、京やんの家に持って行きました。
『こんなお金、受け取れません。』
元々の出所は先代のポケットマネーです。
ハイそうですかと持って帰ったら爺さんにシバかれる事でしょう。
老いても眼は鋭く血走ってるのです。
焼け石に水
ZEROハリバートン満タンの札束が、利息にもならんのです。
後に会社更生法適用され、大手の連結子会社として再生します。
先代の人柄を慕い、先代の育てた従業員の人達を欲しがったのが新しいオーナーでした。
旧経営陣も実権は失うものの、そこそこの年収を保証されて残れるようです。
うちの叔父さん、他人事のように長期的に有給休暇をとり、家とガレージをリフォームしています。
天井からチェーンブロックを吊れるように改造し、風呂が大理石造りになります。
ガレージは僕の設計です。
僕に仕事をくれるのはうれしいですが、会社の一大事に休んでのんびりしている叔父さんにイライラしました。
叔父さんも血縁はないものの、株式を与えられた取締役で経営陣の一人ですから。
責任感ゼロか!?
叔父さんはしっかり新オーナーに株式を買いとってもらい、リフォームしていたのです。
有給休暇をしっかり消化するのが新しいオーナーの方針です。
しかし、もう運動会で活躍しても、バイクや車を貰える時代ではなくなりました。
リフォーム終了後、トラックにNSR を積んで運動会をしてたグランドに行きました。
叔父さんも僕もグランドのアスファルトコースを攻めてタンクが空になるまで遊びました。
叔父さんと久し振りに遊んだのです。
身体のデカイ二人はNSR でも乗りにくいのですが、それでも初めて運動会でポケバイ参戦したサイクロン号を思い出します。
こんな還暦前のオッサンと遊んでおもろいとは想像できなかったですが…
今は亡き太郎に乗り、京やんをいじめてた奴等をこらしめたのも確かこの近くです。
京やんを頭パンチで倒したのもこのグランドです。
ジムニーをゲットしたのも、マッハをゲットしたのもこのグランドなんです。
もうすぐ知らない人に売られ、別の使い方をされるのでしょう。
帰り道、助手席の叔父さんはびっくりするぐらい泣いていました。
鬼瓦と陰で呼ばれている叔父さんの顔はクチャクチャでした。