小5になった京やんが、まだ喜んでジャングラーをウチの敷地内で乗り回しています。
やっぱりこの人、変です。
ポケバイなんかもう小さくて乗りにくいだけの乗り物で、
小3の僕にもポケバイは小さくて乗りにくいのに、
僕はすでにモンキーに乗ってもいい身長になり、
私学の中学を目指す京やんは勉強に忙しくなり、唯一無二の息抜きがジャングラー。
本当に楽しそうに乗っています。
彼は柔の才能は恐らくゼロですが、
まだ僕より身長が低く、体重も軽い彼は道場で一番小さく、
一番年下の僕と新人の彼が道場の掃除や飯の用意、
近所にも男の子はたくさんいましたが、あそこの道場に行く人は、
正確には来ても一日で辞めていくのでした。
営利目的ではない道場は本当に稽古が厳しくて有名でした。
よく大阪にでた時に見かけた
『兄ちゃん、ええ身体してんな!自衛隊入らへんか?』
のオッサンを見ていて僕はヒラメキました。
◼これや!◼
いつまでも道場の掃除や飯片付けとかやってられへんな。
僕は猪木倒さなあかんし、
そして僕たちは一緒に行動に移したのです。
近所の公園では爺さんに見つかります。
ごはんはタダだよ!
げっしゃもタダだよ!
君もいっしょに地球の平和をまもろう!
京やんが会社にある印刷する機械を使って、作ってくれたビラを男の
戦後から約30年、
地球の平和守ろうもイマイチようわかりません。
一人を除いて。
その男の子は僕と同い年の小3。
背は高めですが、
ほんまにご飯タダなん?
うちは兼業米農家。
僕は米嫌いだが、
とりあえず今からおいでよ。
『なかなかマズイ…』
『今日からお世話になります!よろしくお願いします!』
久しぶりのヤル気ありそうな少年が来て喜ぶかと思いきや、
『どこに住んでいる?』
『家族は?』
『何の仕事してはるの?』
いつも爺さんは門下生だけでなく、家族も気にして気配りをする。
家族の理解がなければ、門下生は来ないし、強くならないし、
骨川筋衛門
ガリガリくんがじいさんにつけられたアダ名。
でも僕らは長くて呼びにくいから『馬場』と呼んだ。
そして待ちに待った運動会。
そう、毎年新しい乗り物を提供してくれるあの運動会だ。
京やんが気を効かせて馬場くんも運動会に招待してくれた。
京やんは小5なので年少の相撲や徒競走にはいない。
2つ歳上だが、
幼少の部徒競走
賞品 松阪牛
米1年分
年々参加する子供が減り、去年から京やんがいない幼少徒競走、
裸足の僕は楽勝気分でスタートラインに立った。
よーい、どん!
順調な出、ここからいつもブッチギル。
!?
馬場が猛追、僕はゴール前で少しだけ力を抜いた。
1位、馬場くん。2位は僕。
馬場くんは米1年分と肉を獲得してはしゃいでる。
その後すぐに僕は爺さんに呼び出された。
爺さん『なんでわざと負けたんや?』
僕◼……◼
爺さん『骨川筋衛門は確かに貧乏かも知れん!けど、
毎年 肉、米貰ってるから今年はバイクや家電、
優しさのつもりが、勝負師として大切な事を見失いかけていた僕を、
幼少相撲は僕が本気の
◼頭パンチ◼
で馬場くんのみぞおちに一撃を食らわせ、順当に優勝!
年末に届く猪肉一頭分を手に入れた。
一昨年のウェイトリフティングは不評過ぎて、出番がないオカン弟。
綱引きには新型洗濯機、
馬場くんも社長の息子さんの家族のチームで参加している。
社長がマイクで宣言する。
『勝ったチームの社員は一段階昇進させます!』
叔父さんは係長になったばかり。
でも決勝戦の相手は社長の息子、
会場内がどよめく。
専務から昇進となると、副社長?社長?
叔父さんが若くして課長?
爺さんも親父も勤め人ではないので、社長が偉いぐらいしか知識がなかった僕は、
叔父さんが社長になったら、Z を全部の競技の景品にしてもらおう。
ウチの家族の勝ちです!
社長『おめでとう!今日から課長!給料10000円昇給! 残業代なし!』
実質、手取りは変わらず出世して笑ってる叔父さんを見ながら、
◼豚に真珠◼